相続税の申告について

相続がおきた時、それから1年ぐらいはいろいろな事務手続き等を行なう必要が出てきます。

このページではその間に起きる疑問等について説明しています。

 

  本 相続開始から1年間の各種法定期限等

  本 相続人と法定相続分

  本 相続財産の確認

  本 相続税の申告が必要な方

  本 相続税の計算のしくみ

  本 相続税の申告期限までに遺産分割が整わない場合

  本 名義預金等について

相続に関する各種法定期限

 相続開始  通常は亡くなられた日のことです。
 3ヶ月以内  相続放棄・限定承認手続期限
 4ヶ月以内  準確定申告期限

 8ヶ月以内

 法定期限ではないですが非上場株式の納税猶予の特例のための

 経済産業大臣の認定申請はこのあたりまでにする必要があります。

 10ヶ月以内  相続税の法定申告期限

 1年以内

 遺留分の減殺請求

 

    相続開始日

    一般的には被相続人の方が亡くなられた日又は亡くなった事を知った日をいいます。

 

    相続放棄手続(3ヶ月以内)

    財産より負債が多い場合で相続放棄する場合や一部の相続人に相続放棄してもら

    う場合など裁判所に対して手続きをする必要があります。

    相続放棄するということはその放棄する相続人は最初から相続人でなかったとみな

    されるということですので遺産(プラス財産、マイナス財産)を一切相続することができな

    くなります。

 

    限定承認手続(3ヶ月以内)

    被相続人の財産について不明確である場合(特に借金などがどこにどれぐらいある

    かわからない場合など)はこの限定承認という方法を検討する必要があります。

    限定承認とは簡単にいえば被相続人の財産(プラスの財産)を限度として負債も相続

    するということで、財産より負債の方が多い場合財産を超える負債部分は相続しな

    くて済む方法です。

    ただし、相続放棄は1人の相続人だけでもできるのに対し、この限定承認は相続人

    全員で行なわなければいけませんので注意が必要です。

    相続放棄も限定承認も3ヶ月以内に判断つかない場合には裁判所に申し立てを行い

    期限の延長をしてもらうことも可能です。

    また、3ヶ月の期限を過ぎた場合にはあきらめる前に司法書士等の専門家にご相談

    して下さい。場合によっては認められる可能性もあります。

 

    準確定申告法定期限(4ヶ月以内)

    被相続人の方が亡くなられた年分の確定申告は準確定申告といい、法定申告期限

    は亡くなられた日の翌日から4ヶ月以内(翌年の3月15日の方が早い場合は翌年3月

    15日)までに申告する必要があります。

 

    相続税の申告期限(10ヶ月以内)

    相続開始日の翌日から10ヶ月以内が相続税の申告期限です。配偶者の税額軽減や

    小規模宅地等の評価減の特例を適用しなくても相続税がかからない場合は相続税の

    申告の必要はありません。

    申告期限までに遺産の分割が出来ない場合には法定相続分で相続したものとして

    申告を行なう必要があります。

 

    遺留分の減殺請求(1年以内)

    相続人の方が自分の遺留分に見合う財産を相続できないなどの不服がある場合など

    に行なう手続きです。手続きの詳細などは司法書士等の専門家にご相談下さい。

    

相続人と法定相続分

相続が開始した場合、まずは相続人が誰かを確認します。民法上の相続人と法定相続分

は下記のようになっています。

 

相続人 

 法定相続分

 

第1順位 

 配偶者と子

 配偶者が2分の1 

残りが子

子の相続分は子が複数の場合

基本的には等分になりますが

非嫡出子は嫡出子の2分の1

で計算されます。

 子のみ

 子が全部

 

第2順位

 配偶者と直系尊属

 配偶者が3分の2

残りが直系尊属

直系尊属は父母、祖父母などの

被相続人より前の世代の直系親族

のことをいいます。 

 直系尊属のみ

 直系尊属が全部

 

 

第3順位

配偶者と兄弟姉妹 

 配偶者が4分の3

残りが兄弟姉妹

兄弟姉妹の相続分は兄弟姉妹

が複数いた場合基本的には等分

になりますが

父母の一方が違う兄弟姉妹は父母を

同じくする兄弟姉妹の2分の1で計算

されます。

 兄弟姉妹のみ

 兄弟姉妹が全部

 

各順位の意味は順位の上のところから見ていき、該当するものがいれば次の順位には

いかないという意味です。例えば、第1順位である子がいれば直系尊属OR兄弟姉妹は

相続人ではありません。 配偶者は常に相続人です。

代襲相続人がいるときは相続人の権利義務を引き継ぎます。

 

代襲とは

代襲とは、被相続人の子等が相続開始前に死亡したとき、または欠格・廃除によって

相続権を失ったときに、その者の子がその者に代わって相続人となることを言います。

代襲相続は直系卑属の場合は制限はありませんが、兄弟姉妹の場合は一代限りに

なっています。

 

民法上は相続人の位置関係により上記のように法定相続分を定めていますが

相続財産をどのように相続するかは相続人全員の合意があれば基本的には自由です。

ただし、遺産分割でもめる場合などは原則としてこの法定相続分が基本となります。

遺言などで1人の相続人が他の相続人(同じ立場の相続人)よりも多く相続することは

ありますが、この場合遺留分を侵害していない限り認められます。

 

遺留分について

民法では相続人(兄弟姉妹を除く)が受け取ることができる最低限の割合を定めてあり、

(直系尊属のみが相続人の場合は遺産の3分の1、その他の場合には2分の1)

遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることによりその侵害分を取り戻す

ことが可能です。(侵害を知ったときから1年または相続開始の時から10年以内)

 

相続財産の確認

相続が発生した場合、相続税がかからなくても名義変更等の必要から相続財産を

洗い出す必要があります。また、相続税の申告の必要があるかどうかも確認しなければ

なりません。おおまかな財産の確認方法、相続税評価額の概算の出し方は下記の通り

です。なお、各種手続きには相続人であることを証する書類(戸籍謄本など)が必要です

ので事前に問い合わせて必要な書類を確認する必要があります。

 

 財産の種類 確認方法等  相続税評価額概算額の出し方 
 現金

 財布、金庫など自宅等で確認

 金額はそのままですが、相続開始直前に預金から引き出したものがあれば加算します。
 預金  銀行、郵便局等に残高証明書を出してもらう

 残高証明書の金額(未収利息の金額が大きい場合はその計算もしてもらってください)

 土地

 市などから送られてくる固定資産税の書類

又は市などに名寄帳を出してもらう

 一般的な宅地の場合、固定資産税評価額(標準額ではありません)のおおむね1.2倍の金額

(地域にもよりますが市の固定資産税評価額が時価のおおむね7割、相続税路線価が8割といわれています)

 建物  土地と同じ

 自己使用の場合は固定資産税評価額そのまま。

貸家の場合は固定資産税評価額の0.7倍

(大阪は一部0.6倍のところがあります)

 生命保険金  保険証書の確認、請求漏れのないように  死亡保険金額-相続人の数×500万
 保険関係未収金  保険証書の確認、請求洩れのないように

 入院給付金などの金額

(相続開始後に入金されるもの)

 生保権利  保険証書の確認  契約者(保険料負担者)が被相続人で被保険者が被相続人以外の保険契約の解約返戻金
 損保解約金  保険証書の確認  損害保険契約の相続開始時点の解約返戻金
 退職金  死亡退職金の書類

 死亡退職金-相続人の数×500万円

(小規模企業共済の退職金もこれに該当します)

 有価証券

 株式、受益証券、債券など証券会社、銀行

などに残高証明書を出してもらう。

 上場有価証券等は時価(残高証明書に評価額も書いてもらうといいです。)

非上場株式は別途評価してもらうことをお勧めします。

 その他の財産  貸付金など上記以外のものに関する書類

 事業用財産や貸付金など上記以外の財産

原則として時価(処分価格)

 債務  銀行などに残高証明をだしてもらう

 借入金残高や所得税、住民税、固定資産税

で相続開始時点で未納のものなどの金額

 葬儀費用  各種領収書、お布施などで領収書がもらえないものは支払年月日、相手先を記載しておく  支払った金額

 

簡単な相続税の概算を出してみたい方は 相続税試算シート を用意していますので

ご利用ください。

 

相続税の申告が必要な方

相続税の申告が必要な方は下記の通りです。

 

1.生前贈与の時に相続時精算課税制度を選択された方で贈与税を納められた方

  相続時精算課税制度を選択し利用された方で贈与税を納められた方は、相続税の課税価格の合計額が

  基礎控除以下の場合でも贈与税の還付のために相続税の申告が必要です。

 

2.課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合

  下段 相続税の計算のしくみ の課税遺産総額の金額が発生する場合をいいますが

  この場合の課税価格の合計額は小規模宅地等の特例等を適用する前の金額で判定

  して下さい。

  なお、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減等は申告することが要件の特例です

  ので小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減等の適用により相続税がかからない

  場合であっても相続税の申告は必要ですので注意が必要です。

 

相続税の計算のしくみ

相続税の計算のしくみは下記のようになります。

 

@まず課税価格の合計額を計算します。

 各相続人等が取得した

 財産の価額(総額)

-

被相続人の

債務・葬儀費用 

  前3年以内贈与財産  

相続時精算課税

制度適用贈与財産 

=   課税価格の合計額

 前3年以内贈与財産とは

相続等により財産を取得した人が相続開始前3年以内に被相続人から受けた贈与財産 

 

A課税遺産総額を計算します。

 課税価格の合計額

-

遺産に係る基礎控除額

5000万円+1000万円×相続人の数

 課税遺産総額

 

 (注)平成27年1月1日以後開始相続より、基礎控除額の改正が予定されています。

 詳細は平成27年相続税改正情報をご覧下さい。

 

B課税遺産総額から相続税の総額を計算します。

 法定相続人が課税遺産総額を法定相続分で相続したものと仮定して計算した取得金額(※)

 をもとに下記の税率表により各法定相続人ごとに算出した相続税を合計したものが

 相続税の総額です。

 (※)実際の取得の状況は関係なく、ここではあくまで法定相続分で分けたものとして計算します。

 

【相続税の税率表】

 法定相続分に応ずる取得金額 税率  控除額 
 1000万円以下の金額  10%  ─
 3000万円以下の金額  15%  50万円
 5000万円以下の金額  20%  200万円
 1億円以下の金額  30%  700万円
 3億円以下の金額  40%  1700万円
 3億円超の金額  50%

 4700万円

(注)平成27年1月1日以後開始相続より、税率の改正が予定されています。

 詳細は平成27年相続税改正情報をご覧下さい。

 

C各相続人の相続税額を出します。

 Bの相続税の総額を実際に相続した各相続人に配賦します。

 配賦基準は実際に相続した財産価額で按分します。

 

なお、非上場株式等の特例制度を適用される場合は上記方法と少し異なりますので

ご注意ください。

 

相続税の申告期限までに遺産分割が整わない場合

相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内ですが

申告期限までに相続財産の全部の遺産分割協議が整わない場合又は一部

の遺産分割協議しか整っていない場合は未分割の財産を法定相続分で相続

したものと仮定して計算した申告をしなければなりません。

未分割を理由とした申告期限の延長などはありませんのでご注意ください。

 

この場合、未分割での申告時には未分割の財産に対して以下の相続税の特例

は適用できません。

 

@配偶者に対する税額軽減

A小規模宅地等についての相続税の課税価格の特例等

B事業承継税制(納税猶予の特例)

C農地等の相続税の納税猶予

D相続税の取得費加算の特例

E物納など

 

@、Aについては申告期限から3年を経過するまでに遺産分割ができれば

修正申告又は更正の請求手続きを行なうことにより適用ができるようになり

ますが他は救済措置がありませんので適用できません。

特にB、Cは要件を満たしているのであれば是非とも相続税の申告期限まで

にその財産(株式や農地)だけでも分割を終わらせて申告をするようにして下さい。

なお、BやCは特例の適用要件に各種添付書類がありますのでそれを入手する

ためには若干の期間を要しますのでご注意ください。

 

名義預金等について

相続税の申告の際によく問題となるのが名義預金です。

 名義預金とは預金の口座名義が配偶者、子、孫などである場合に、その預金の原資が被相続人

から出ていると認められるもの(贈与と認定されたものを除く)をいいます。

 

よく相続対策やペイオフ対策などで家族の名義を借りて預金口座を増やす場合がありますが

その行為が贈与でない限り、いくら名義が被相続人のものでなくても実質的に被相続人の相続

財産とみなされます。

 

この名義預金の考え方は、預金だけでなく保険商品なども同じ扱いになります。

 

この名義財産の一番の問題はその財産か贈与されたものであるかどうかということで

贈与されていないと判断される場合には名義財産として被相続人の相続財産とみなされる

ということです。

 

贈与というのは基本的に、贈与する人があげますという意思表示をして受ける人がそれを

もらいますという意思表示をして贈与契約が成立します。契約ですので一方だけの意思表示

では贈与は成立しません。

 

預金等の場合に贈与として認められるためには

@その預金等の存在を受贈者が知っているか

Aその預金等の管理を受贈者が行なっているか

Bその預金等の印鑑は受贈者自身のものか

Cその預金等から得られる収益(利息、配当等)を受贈者が受け取っているか

などを総合的に見て判断されますが、税務調査では印鑑の確認、預金作成時の筆跡、管理者

の確認など詳細に調査しますので相続税の申告の際には必ず検討をする必要があります。

 

相続対策の情報が独り歩きしており、安易な考えのもとに財産を移されて実際の税務調査

では通用しないケースが多く見受けられます。生前の相続対策をされる場合には税務調査に

立ち会い、判断基準を理解している税理士に相談されることをお勧めします。

 

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