相続税の申告の際によく問題となるのが名義預金です。
名義預金とは預金の口座名義が配偶者、子、孫などである場合に、その預金の原資が被相続人から出ていると認められるもの(贈与と認定されたものを除く)をいいます。
よく相続対策やペイオフ対策などで家族の名義を借りて預金口座を増やす場合がありますがその行為が贈与でない限り、いくら名義が被相続人のものでなくても実質的に被相続人の相続財産とみなされます。
この名義預金の考え方は、預金だけでなく保険商品なども同じ扱いになります。
この名義財産の一番の問題はその財産か贈与されたものであるかどうかということで贈与されていないと判断される場合には名義財産として被相続人の相続財産とみなされるということです。
贈与というのは基本的に、贈与する人があげますという意思表示をして受ける人がそれをもらいますという意思表示をして贈与契約が成立します。契約ですので一方だけの意思表示では贈与は成立しません。
預金等の場合に贈与として認められるためには
①その預金等の存在を受贈者が知っているか
②その預金等の管理を受贈者が行なっているか
③その預金等の印鑑は受贈者自身のものか
④その預金等から得られる収益(利息、配当等)を受贈者が受け取っているか
などを総合的に見て判断されますが、税務調査では印鑑の確認、預金作成時の筆跡、管理者の確認など詳細に調査しますので相続税の申告の際には必ず検討をする必要があります。
相続対策の情報が独り歩きしており、安易な考えのもとに財産を移されて実際の税務調査では通用しないケースが多く見受けられます。生前の相続対策をされる場合には税務調査に立ち会い、判断基準を理解している税理士に相談されることをお勧めします。