相続税対策

 将来の相続税がいくらかかるか。これが相続税対策の第1歩です。相続税がそんなにかからないのにやみくもに贈与などしても意味がありません。ある程度の相続税の予測をして、減額できる要素はどこにあるか、またその効果はあるかを考え必要な対策を行なうことが重要です。相続税対策は準備の期間が長ければ長いほど効果は上がります。

 ただし、相続税対策で気をつけないといけないことがあります。相続税の節税をあまりに重要視すると相続税は減ったものの財産自体も減っていたなんてことも実はよくあります。当事務所ではリスクに応じた優先度を考えお客様にアドバイスをさせていただいております。

 相続税対策の順序は

 @財産を減らさないで評価額を下げられるもの(費用発生小)

 A財産を減らさないで評価額を下げられるもの(費用発生大)

 B財産が減るが相続税の減額の方が大きいもの

 で行ないます。

 @の代表的なものは相続税の各種特例を適用できるように財産構成を変えるなど

 Aの代表的なものは贈与による下の世代への移転など

 Bの代表的なものは賃貸物件(アパート、マンション)の購入など

 いずれの場合も必ず将来のリスクの検討も合わせて行なうことが重要です。とくにBは場合によっては相続税が減額できても財産がそれ以上減る可能性がありますのでしっかりと検討する必要があります。

 

 また、相続税対策にはタイミングも重要です。人生設計の中で大きく相続税が減額できるタイミングがありますが税理士の方で把握するためには定期的な相談をされた方がいいでしょう。よくありますのが会社の経営者の方で会社の方は今までの税理士と顧問契約をされていて個人の確定申告を相続税に詳しい税理士に依頼するケースです。このケースですと税理士のほうは少なくとも年1回は定期的に状況把握ができ、依頼者の方も年の途中などで相談もしやすいと思われます。あるいは資産税に関する顧問契約を結ぶこともいいと思われます。もちろん会社の方の顧問税理士が相続にも精通していればその方に依頼されるのが一番いいと思われます。

 

生前相続税対策は期間が長ければリスクも抑えられます。相続税が将来心配な方はまずはお早めに相続に詳しい税理士にご相談下さい。

 

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相続対策のための相続税と贈与税の税率─どこまで贈与できるか?─

相続対策で一番ポピュラーな方法は、ある程度の期間をかけて毎年贈与する方法です。

暦年贈与の場合、基礎控除が110万円あることから110万円以内の贈与であれば贈与税はかかりません。

しかし、財産が多く毎年110万円贈与しても全体の財産から見ると少ししか効果がない場合には、贈与する額を増やすことを検討することが必要です。110万円を超えると贈与税が発生しますが、ここでの一番のポイントは、将来の相続税と実行する贈与の贈与税との比較になります。

相続税と贈与税を比較する場合には相続税、贈与税それぞれの税率を確認することが重要となります。

 ここでいう税率は相続税については一番高いところの税率、贈与税は贈与した額から見た税率をいいます。相続税の計算については相続税の計算の仕組みをご覧ください。

 

まずは、相続税の税率の確認をしましょう。

相続税は累進税率により、段階的に税率がUPするようになっています。ここで気をつけることは、全体が同じ税率でかかるのではなく、それぞれの段階で違う税率になっており、その合計が相続税になります。

【相続税の速算表】

 法定相続分に応ずる取得金額 税率  控除額 
 1000万円以下の金額  10%  ─
 3000万円以下の金額  15%  50万円
 5000万円以下の金額  20%  200万円
 1億円以下の金額  30%  700万円
 2億円以下の金額  40%  1700万円
3億円以下の金額 45% 2700万円
6億円以下の金額 50% 4200万円
 6億円超の金額  55%

 7200万円

 上記の速算表は、全体の相続税を早く計算できるための表で累進税率を考えるには分かりにくいので下記に置き換えてみます。

【相続税の税率構造】

 法定相続分に応ずる取得金額 税率 
 1000万までの部分
 10%
 1000万円超3000万円までの部分  15%
 3000万円超5000万円までの部分  20%
 5000万円超1億円までの部分  30%
 1億円超2億円までの部分  40%
2億円超3億円までの部分 45%
3億円超6億円までの部分 50%
 6億円超の金額  55%

相続税の計算は、相続財産から基礎控除を引いて、それをいったん法定相続分で分けてそれぞれの相続人ごとに上記税率によって相続税の総額が計算されます。

 

具体例)相続財産3億円、相続人が子だけの2人の場合

3億円−4200万円(基礎控除)=2億5800万円→法定相続分に分ける(実際の遺産分割は関係なし)

相続人1人当たりは1億2900万円になり、これを上記税率表に入れて計算します。

速算表による計算方法だとはこの場合、

1億2900万円×40%−1700万円=3460万円になり

相続人2人なので3460万円×2人で相続税の総額は6920万円になります。

これの税率構造を見ると

【子2人の相続税の税率構造】

 法定相続分に応ずる取得金額 税率  子A 子B
 1000万までの部分
 10% 1000万円 1000万円
 1000万円超3000万円までの部分  15% 2000万円 2000万円
 3000万円超5000万円までの部分  20% 2000万円 2000万円
 5000万円超1億円までの部分  30% 5000万円 5000万円
 1億円超2億円までの部分  40% 2900万円 2900万円

こちらの表で計算すると

1000万円×10%+2000万円×15%+2000万円×20%+5000万円×30%+2900万円×40%=3460万円→2人で6920万円という計算になります。

 

これを相続税対策の観点から検討します。

 法定相続分に応ずる取得金額 税率  子A 子B
 1000万までの部分
 10% 1000万円 1000万円
 1000万円超3000万円までの部分  15% 2000万円 2000万円
 3000万円超5000万円までの部分  20% 2000万円 2000万円
 5000万円超1億円までの部分  30% 5000万円 5000万円
 1億円超2億円までの部分  40% 2900万円 2900万円

このケースで一番高い税率のところは2900万円の40%になります。

ということは相続財産のうち、2900万円の2人分の5800万円について40%の税率がかけられているということです。

相続対策は財産を減らすことによって、高い税率の部分を減らすことに意味があります。


続いて贈与税の税率を見てみましょう。

(贈与税の速算表)

直系尊属→20歳以上の者の場合

 基礎控除の課税価格

税率 

控除額 

 200万円以下

 10%

 ─

 400万円以下

 15%

 10万円

 600万円以下

 20%

 30万円

 1000万円以下

 30%

 90万円

 1500万円以下

 40%

 190万円

 3000万円以下

 45%

 265万円

 4500万円以下

 50%

 415万円

 4500万円超

 55%

 640万円

 

上記以外の通常の場合

基礎控除後の課税価格

税率 

控除額 

 200万円以下

10%

 ─

 300万円以下

15%

 10万円

 400万円以下

20%

 25万円

 600万円以下

30%

 65万円

 1000万円以下

40%

 125万円

 1500万円以下

45%

 175万円

 3000万円以下

50%

 250万円

 3000万円超

55%

400万円 

現在の贈与税の税率は贈与者と受贈者との関係で特例が設けられています。

直系尊属(親、祖父母など)から20歳以上の直系卑属(子、孫など)への贈与の場合は若干優遇された税率になっています。

贈与税はその性質上、金額が多くなるとかなり税率が高くなりますが、相続対策を考える上での税率は次のように考えます。

相続税の税率と比較するために、贈与した額に対する税率を考える

具体例)700万円の財産を20歳以上の子に贈与する。

親子(子が20歳以上)の贈与になるため、特例の方の速算表を使う。

700万円−110万円(基礎控除)=590万円→速算表(特例)

590万円×20%-30万円=88万円

この時に注目する税率は、相続税の様に一番高い税率(このケースだと20%)ではなく
贈与税(88万円)÷贈与した財産の額(700万円)=約12.5%になります。

先ほどの相続税のケースでこの贈与税を比較するとこの700万円については
相続税→40%
贈与税→約12.5%
という差があり、この700万円を相続まで何もしないと40%の相続税がかかりますが、贈与だと12.5%で済むということです。

 

なお、上記事例でいえば、40%の部分の5800万円を削ると次は30%の部分になりますので、贈与税と比較するのは30%になります。

上記のように他に特に相続対策がない場合には基礎控除110万円の枠にとらわれず、どこまでの贈与なら許容範囲かを考えてまとまった額の贈与を検討することも必要です。

また、相続税と贈与税を比較検討する上で相続財産がどれぐらいあるかという試算が必要になってきますので生前対策をするには、まず相続税の試算をしましょう。

※なお、将来、相続によって財産を取得した相続人が相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は相続財産に加算されますので、早めの計画が必要です。

 

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相続(遺産分割)対策

将来遺産分割についてもめるんじゃないか?うちの相続人関係は複雑でどうなるか心配!など遺産の分割について不安がある方はもちろんですが、うちの子供たちは仲がいいから大丈夫!うちは相続税がかかるほど財産がないから大丈夫!と思っている方も相続対策が必要な可能性があります。

 

遺言書を書いてさえいれば!遺産を分けやすくしていれば!など対策さえしておけば相続人同士で争うこともなかったと思われるケースがよくあります。

 

私が思う相続対策(争い防止のための)で一番重要なことは親から子へしっかりと意思表示をして納得しない子がいたら理解するための努力をされることだと思います。

どうやっても争う場合は別ですが私の経験上、この親の意思表示不足のために争いがおきていると思われるケースが多いのです。

日本らしい例として父親は長男にだけ遺産の分け方を言い残している場合、他の兄弟は長男から説明されるだけです。そういうケースは長男の相続分が多かったりしますので余計もめる要素が多いのですが自分の相続分が少なくても親の意思(遺志)なら納得する(あきらめる)こともあるのです。

 

相続争いはそれまでの家族関係を壊してしまいます。回避する努力をしてください。

 

方法としては、遺言書を作っておく、遺産を分けやすくしておく、場合によっては遺留分の放棄などご家族の状況によって必要な対策がそれぞれあります。相続に関する法律は複雑ですが事前の対策が重要ですのでご自分で判断されず弁護士、司法書士などの専門家へご相談下さい。

 

なお、この対策の多くはご相談も含めて税理士の業務の範囲を超えるものですので当事務所では提携している司法書士等と連携してご相談に対応させて頂いております。

ただ、多くの場合相続税や贈与税に関係するものが多いため、先にこちらで課税関係を確認させて頂いたほうがスムーズなため当事務所が窓口とさせて頂いております。

 

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相続税資金対策

 財産はたくさんあるけど、相続税が払えない!そんなバカな話は・・・実はよくあります。

不動産が多い場合や、特に多いのが会社の経営者の方で財産のほとんどが自分の会社の株式である場合など、現預金やすぐに換金可能な財産より相続税の方が多かったというケースです。

 そんな時はどうするのか?相続が開始されていれば申告期限までに時間がありません。相続人の預貯金で払うか、急いで不動産を売却して資金を捻出するか、自分の会社の株式は・・・なかなか売れるものではありません。延納か不動産などの物納になります。

 延納は利子税という利息を支払わなくてはいけません。不動産の物納はある程度の基準を満たす不動産でないと受けられませんし、申請手続きに時間と手間がかかります。

 

 そこでできるだけ相続税の資金は相続財産のうちから支払うことができるように財産の構成を変えていく必要があります。これが相続税資金対策です。

 

 これも当事者の方の状況、年齢によってできることが変わってきますのでご自分で考えるだけではなく専門家の利用をおすすめします。

 

当事務所では、ご相談者の状況に応じて適切なアドバイスをさせていただいております。

 

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